「中途採用は即戦力を採用する」
誰もがそう思っていますし、実際にその通りです。
中途採用しようと思っている会社は、何らかの理由で人が欲しいから採用する訳です。
なので、「中途採用は即戦力を採用する」というのは、間違いではありません。
しかし、「即戦力」とは、どういうことでしょうか?「即戦力」の意味はを正しく理解されているでしょうか?
これから転職しようとする方に尋ねると、「すぐに戦力となれるだけの経験や知識があること」という答えが返ってきます。
この答えは、少し間違いです。
採用担当者の思いはこうです。
「中途なので若手でも即戦力になれる人物を求めるが、専門知識は問わない」
「今の世界では進歩が速い。昨日の知識が今日使えるとは限らない。逆に昨日の知識が邪魔になる可能性もある。だから、知識よりも、この状況に対応できる人がほしい」
「即戦力が欲しい」と言いながらも、「専門知識は必要ない」。
その意図するところは、
「今持っている経験や知識は、今の世の中のスピードの速さの中ではすぐに陳腐化してしまい、役に立たない。それよりもそのスピードの速さに対応できる対応能力が求められている」
ということなのです。
あるベンチヤー企業では、ベテランクラスを採用しようと、積極的に面接をしていましたが、なかなか採用になりませんでした。
不採用になる時にいちばん多いのが、「完成形でできあがってしまっている」という理由でした。
年齢が高くなればなるほど、「即戦力」への期待は高まります。
ただそんな場合でも、完成しているのではなく、まだ進化しようとしている人が求められます。
ベンチヤー企業では経営層が若いため、若い経営層、例えば、年下の社長のもとで働くことができるかどうかが問われます。
そんな時、面接でみるのは「柔軟性」です。
「今までの経験を使ってお役に立ちたい」と言いながらも頑固そうな印象だったら、使いづらいと判断します。
逆に、
「もういい歳なのに、まだ変わりたいといっている」
年齢が高い人の場合、こんな風に言われるような人が採用されています。
若い人で、経験や実績をアピールするのは、気をつけましょう。
例えば、研修中に辞めた第二新卒のアピールは危険です。
「3か月という短い期間でしたが、多くのことを学びました」というアピールです。
たかだか3か月で、なにを学べるというのでしようか?
採用側が、こうした言葉を聞くと、「仕事が全くわかっていない。ポテンシャルが低い証拠」と思い、採用を控えます。
企業が求める即戦力が、なんとなくわかったでしょうか?
企業が求める「即戦力」は、「今、どんな経験や知識を持っているか」ではありません。
それよりも、企業から求められるのは、「学習意欲」と「実行力」です。
「学習意欲」は、これまでどうやって学んできたか、ということです。
学ぶ気持ちや取り組み方から、これからの成長度合いを判断されます。
また、「実行力」は、頭の中の知際を実際に行動として頻在化できるという力。ということです。
つまり、企業に求められているスキルは、今までの知識や経験ではなく、自ら考え、行動できるスキルなのです。
「それ知っています」では即戦力として認められません。
即戦力として活躍できる人は、「それならできます」とか、「知識は不足しているが、こうすれば実現できると思うので、やってみます」と答えるのです。
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